
開かれた研究室での活動を通じて「人工知能」を広めていくー博士が選んだキャリアパス│鈴木雅大氏(東京大学博士後期課程3年)
2017年12月6日
東京大学 松尾研究室では、Deep Learningをはじめとする人工知能技術で大きなブレークスルーを生み出すこと、実社会に成果といして結実させること、を柱として研究をされています。その中で、基礎よりの研究をされている博士課程後期に在籍されている鈴木さんに研究やアウトリーチすることについて等伺ってきました。
鈴木雅大氏プロフィール:2015年 北海道大学大学院 情報科学研究科 修了。現在、東京大学工学系研究科 技術経営戦略学専攻。転移学習やDeep learningの研究に従事。
インタビュアー:吉野 宏志
一貫制博士課程単位取得満期退学(元 学術振興会特別研究員DC1)。在学中は研究外でも専門分野を越えた共同プロジェクトに参加。2016年にアカリクへ入社し、現在は大学院生やポスドクへのキャリア支援に従事。
自主講座から始まった「先端人工知能論」
鈴木さんの経歴について教えてください。
研究以外での活動はありますか。
自主講座も引き続きしていて、社会人の方も呼べるので、講義に出資してくださっている企業の方などが受講してくださってますね。あとは、松尾先生がお忙しいので、例えば人工知能を学びたいと来る取材も、講義を担当していたためか代わりに僕がお伝えする、ということは何度かありましたね。1度しっかり出たのが『ワールドビジネスサテライト』というニュース番組で、デモが紹介されましたね。他には、女優さんに人工知能を週1で教えることもやっていました(笑)
単純に研究ができる人ではなくて、より具体的にアウトリーチしてほしいという社会の要望に応えるということでしょうか。

松尾先生の代わりに講義をしているとのことでしたが、どういった経緯なんでしょうか。
その少し前に発売された本が『東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」』*3という本ですね。
専門書の翻訳をオンライン公開、コメントで品質高める
たくさんの活動をされていますが、他に翻訳の方も携わっていらっしゃるんですよね。
ちなみに翻訳の分量はどれくらいですか?
研究から教育に繋がる活動は、やはりその分野を理解している人が行ったほうが良いですよね。
特に深層生成モデルと呼ばれる分野は、実装が結構大変なので、自分用に作ったライブラリを公開しました。海外で有名なEdwardというライブラリを作成した人や、PyMC3というライブラリを作成している人からスターをもらいました。数は多くないですが、そういう方からスターをいただいています。
人工知能を作った先に目的があって、そのために人工知能を作る過程が存在するものだなと感じました。
多様性といいますか、そこはいい意味で雑多な感じがありますね。そういうのを許容して学びがあるってやはり大事ですね。これは松尾研の強みですね。
早めに身につけておきたい基礎的なスキル
今後のキャリアパスについて教えてください。
学部あるいは大学院、博士課程に進学したころに、何かこうしたら良かったと思うことはありますか。
結局、研究を進めていくにつれて基礎が必要だから戻って学んだことが結構あるので、学部のころから基礎知識を固めてから積み重ねるような研究をしていけたら良かったかなと思いますね。
これはやはり後になって気付くことが多いですよね。
やはり基礎的なスキルとして身につけた方が良いということですよね。
ありがとうございます。それでは次に、博士課程の方ないしは若手の研究者に向けてメッセージをお願いします。
僕自身あまり1人だとできない人なので(笑)、あまり1つの分野に留まるのはよろしくないなと思うのと、今後も色々な分野、人と交流して研究は続けて人工知能分野全体を盛り上げていきたいし、自分自身をより高めていけたらいいなと思っています。
ありがとうございました。
参考文献
[1] Kevin P. Murphy, Machine Learning: A Probabilistic Perspective (Adaptive Computation and Machine Learning series), The MIT Press, Aug.2012.
[2] 松尾 豊, 人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの, 角川EPUB選書, May.2015.
[3]松尾 豊, 塩野 誠, 東大准教授に教わる「人工知能って、そんなことまでできるんですか?」, KADOKAWA/中経出版, Oct.2014.
博士進学を決めた理由、現在の研究内容は、 院進‐kに記事を載せておりますので、併せてご覧ください
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